医師国家試験の国試浪人とは?親御様が知っておきたい実態と支援のポイントを東大卒講師が徹底解説【2024年12月更新】
更新日:2024年12月30日
はじめに
医師国家試験に不合格となり、国試浪人生活を送ることになったお子様を持つ親御様は、様々な不安や悩みを抱えていることでしょう。国試浪人が将来のお子様のキャリアに与える影響、経済的な負担の増加、国試浪人生であるお子様との向き合い方・サポート体制の構築など、心配事は尽きません。しかし、適切な理解とサポートがあれば、必ず合格への道を切り開くことができます。
本記事では、医学生の指導歴約9年で多くの国試浪人生の指導経験を持つ東大卒講師が、国試浪人の実態と親御様ができる具体的なサポートのポイントを詳しく解説します。国試浪人生特有の課題や心理状態から、親御様の適切なサポート方法、さらには国試浪人から医師国家試験に合格した事例まで解説しています。
最後まで読んでいただければ国試浪人への不安が和らぐと共に、翌年の医師国家試験で合格するために必要なことがはっきりとわかりますので、ぜひ最後までご覧ください!
監修:
医師国家試験予備校MEDICINE 塾長 佐々木京聖
医師。東京大学医学部卒。医学生の個別指導歴9年。在学時より医学生の個別指導の経験を積む。基礎医学からCBT・国試対策まで幅広く手掛ける。
学生時代には、塾講師として延べ100人以上の大学受験生(主に医学部・東大志望者)も指導。東大理三をはじめ、医学部を中心に多数の合格実績。自身の勉強法をまとめた書籍に、学生時代の書籍『現役東大生が教える超コスパ勉強法』(彩図社)がある。
医師国家試験予備校指導歴9年、合格実績豊富な東大卒講師による個別指導で、医師国家試験の合格を目指しませんか?
医師国家試験予備校MEDICINEでは、現在の状況を踏まえた医師国家試験に向けた戦略アドバイスや、学習計画表の作成、苦手分野や勉強ペースに合わせたオーダーメイド授業を行います。試験直前1ヶ月前からの受講で成績が大きく伸び、合格に至った事例も!
初回面談は無料で、講師に直接医師国家試験の勉強法や困っていることについて相談することができます。
・子供が国試浪人をしてしまった、あるいは国試浪人してしまいそうであるが、なんとか挽回して翌年には合格を掴みたい
・国試浪人生である子供との向き合い方、サポートの仕方を確認しておきたい
このような悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください!
医学部における国試浪人とは?
医学部における国試浪人とは、医師国家試験に不合格となり、次の医師国家試験の合格を目指して再受験の準備をする期間です。医師国家試験の合格率は例年約90%であるため、10人に1人程度が国試浪人となる可能性があります。
国試浪人生は不合格による挫折感や周囲からのプレッシャーにより精神的に不安定になりやすい状況であるのに加え、大学からのサポートや試験情報の収集が困難になるなど、その道のりは決して平坦ではありません。
国試浪人生は、現役生とは異なる心構えや対策が必要となるため、早期から適切な学習計画を立て、精神面のケアを含めた総合的な準備がより一層重要となります。
医師国家試験で浪人する理由とは
医師国家試験で不合格となる理由は様々ですが、以下が主な理由として考えられます。
単なる学力不足だけではなく、精神的な要素や医師国家試験特有の試験テクニックの不足など複合的な要因が組み合わさって国試浪人に繋がることがあります。
- 学力不足
- 学習計画や戦略の不備
- 精神的なプレッシャー
- 時間管理の失敗
- 試験テクニックの不足(問題文の読み方や選択肢の選び方など)
現役合格率と浪人生の合格率【最新データ】
医師国家試験の不合格は、多くの医学生にとって想像以上に厳しい現実をもたらします。
厚生労働省が発表した資料によると、2024年2月に行われた第118回医師国家試験では、現役生(新卒者)の合格率が95.4%だったのに対して、既卒生の合格率は58.9%でした。浪人生の合格率は浪人を重ねるほど年々低下し、1浪で約70%、2浪で約47%、3浪で約33%にまで落ち込みます。(引用元:厚生労働省 第 118 回医師国家試験の学校別合格者状況)
この数字が示すように、浪人を重ねるほど合格の難易度が上がっていくのが現状です。しかし、適切な対策とサポートがあれば、十分に挽回可能ですので、ここで諦めてはいけません。
現役医学生と国試浪人生の違いとは
国試浪人生として医師国家試験の勉強に取り組む上で、現役生と比べてどのような違いがあるのでしょうか。
大きく分けて、以下の3つの点を意識した上で国試浪人生は試験勉強に臨まなければいけません。
- 学習スタイルの違い
- 心理的な負担の差
- 家族との関係性の変化
それぞれの項目について、以下で詳しく説明していきます。
学習スタイルの違い
現役生の頃は周囲の友人も同じく医師国家試験の勉強をしていたため、互いに教え合ったり励まし合いながら勉強に取り組んでいたことでしょう。
大学によっては、医師国家試験対策のための授業があるなど、基本的に大学のカリキュラムに沿って学習をしていたことと思います。
一方、国試浪人生は、周囲にそのような友人が少なくなってしまうため、自己管理のもと学習を進める必要があります。
国試浪人をする際は、自宅で浪人をするのか、医師国家試験予備校を活用するのかのいずれかを選択することになります。
それぞれのメリット・デメリットについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
心理的な負担の差
浪人生は不合格の経験から自信を失っていることが多く、精神的なサポートが特に重要です。
将来的なキャリアへの影響や周囲の期待に応えられなかったことへの焦りを感じやすく、周囲の友人や同級生が合格して新しい道に進む中で取り残された感覚を抱きやすくなります。
これらの感情に対処するためには、周囲のサポートを得ながら、冷静に自己分析を行い、適切な学習計画を立てることが重要です。
家族との関係性の変化
浪人期間中は家族との時間が増える傾向にあるため、適切な距離感を保ちながら支援することが大切です。
現在医師国家試験予備校MEDICINEで指導させていただいている中でも、親御様との関係性に悩む医学生は少なくありません。
親御様と医学生の関係性がうまくいかないパターンとしては、以下の2つのパターンがよくみられます。
パターン | よくあるトラブル | 改善方法 |
---|---|---|
医学生と親御様が同居している | 子どもの勉強やプライベートについつい口を出してしまう(例. 1日の勉強時間が短いと口出ししてしまう、「なぜ勉強しないの?」と口を出してしまう、帰宅する時間が遅いと文句を行ってしまう等。) | 医師国家試験予備校を活用して、勉強に関しては一任してしまう。 |
医学生と親御様が別居している | 子どもの様子を心配して頻繁に連絡してしまう。 | 連絡する曜日や時間を予め決めておく。 医師国家試験予備校を活用して、勉強に関しては一任してしまう。 |
傾聴と共感を基本とし、お子様の気持ちを理解しようとする姿勢が重要です。また、過度な期待や励ましは逆効果になる恐れもありますので、お子様の自主性を尊重し、適度な距離感を保つように心がけましょう。
国試浪人生をサポートする親御様の役割
国試浪人期間中は、孤独を感じやすく、学習のモチベーションを維持することが難しくなります。
効果的な学習を継続するために、親御様ができるサポートとして以下のようなものがあります。
- 学習環境の整備
- 目標設定のサポート
- 経済的な支援
- マインドセットの提案
下記にて、それぞれ詳しく解説していきます。
親御様が知っておくべき効果的な学習環境の作り方
集中力ややる気は、勉強する場所や条件によって、大きく変化します。
静かで集中できる学習スペースの確保、適切な照明や温度管理など、快適な学習環境づくりをサポートしましょう。
また、十分な睡眠や栄養バランスの取れた食事も、記憶や学習を定着させるために重要です。
睡眠時間が十分に確保されていないと記憶の整理と定着が十分に行われないばかりか、イライラや気分が落ち込みやすくなり、学習意欲の低下にも繋がります。