チーム医療に関する小論文のポイントと例文| 医師国家試験予備校MEDICINE

「チーム医療」は医療従事者の就職試験や医学部の入試などで使われやすい小論文の題材です。
この記事では、小論文でチーム医療に関する問題が出題された際、問われうる論点ごとにポイントを解説した上で、例文を示します。
目次
チーム医療とは

まずは、チーム医療とはいかなるものなのかという点についてです。
要点は
・多職種が対等な立場で連携する
・患者中心の医療である
という2点です。
以下小論文で書く際の文面例を示します。
例文
医療技術が進歩した現代では、医療の専門分化が進んでおり、1人の医療者だけでは患者の多様なニーズに応えるのが難しくなっている。
このような中で重要性を増しているのがチーム医療である。チーム医療とは医師、看護師、薬剤師、理学療法士といった多職種の医療従事者がそれぞれの専門性を活かして、対等な立場で連携・協働しながら、1人の患者を治療から社会復帰まで包括的にサポートする「患者中心の医療」である。
チーム医療のメリット

チーム医療のメリットとしては以下のような点が挙げられます。
・医療の質の向上
・安全性の確保
・多角的なサポート
・医療従事者の負担軽減
これらの内容を含んだ文面例が以下になります。
例文
チーム医療のメリットとしてはまず、複数の専門家が各々の知識を活かして医療に携わることで、質の向上が期待できる点である。さらに、複数名の視点で治療の評価ができるため、見落としや判断ミスによる医療事故を防ぎやすくなり医療の安全性を確保しやすくなるという利点もある。
また、病気の直接の治療だけでなく、職場への復帰や精神的なケア、退院後の生活支援のように多角的なサポートを提供できる点もチーム医療のメリットである。
加えて、それぞれの医療従事者が専門性を最大限発揮できる業務にのみ集中でき、結果として効率的で質の高い医療を提供できるというメリットがある。
問題点と解決策

チーム医療の問題点としては一般的に以下のようなものが挙げられます。
・職種間のコミュニケーションに関する問題
・医療従事者の負担増
・役割分担の難しさ
例文
チーム医療の問題点としては、まず職種間のコミュニケーションに関する問題が挙げられる。
元来、医療の現場では医師の指示を絶対のものとしたヒエラルキー的な耐性が根強く残っており、こうした環境では医師以外の職種から率直な意見を出しづらい。その結果、多角的な視点からの検討が尽くされず、質の高い医療に繋がりにくいという可能性が考えられる。
また、他職種で連携をするにあたりそれまでになかったカンファレンスを新たに行う必要がでてくるなど、医療従事者の業務量増加も問題点の一つと言える。
さらに、多職種間で十分な意見の交換ができたとしても、チーム内での役割分担が不十分な場合、必要なサポートが患者まで行き届かず、かえって医療の質や安全性を落とす結果になってしまうことも考えられる。
私は、これらのチーム医療に関する問題は経験の少なさに由来するものであり、学生時代および現場での教育によって解決できると考える。医療の現場に出る前から他職種とコミュニケーションをとって意見を交換し、連携する経験を積み、互いの役割や専門性を理解することでチーム医療の本来の目的を達成できるのではないだろうか。
医師が果たすべき役割

チーム医療において医師が果たすべき役割を論じる課題が出た場合の方針を示します。
・治療の方針を決定するという意味でのリーダーシップ
・多職種を尊重し積極的に意見を求める姿勢
などを軸に構成すると良いでしょう。
例文
医師はチーム医療において診断や治療の方針を直接決める立場である。
したがってチーム医療の方向性を明確にし、医療の質を高める方向に導くリーダーシップを発揮することが医師として求められる役割であると考える。
ただ、チームを導く中でも、独善的に自身の意見を押し通すことは望ましくない。むしろ、医師自らが積極的に他職種の意見を求め、各々の専門性を尊重しながら議論を促すことで、最良の医療を提供できる環境づくりを主導していくべきである。
看護師が果たすべき役割

チーム医療において看護師が果たすべき役割という論題の場合
・看護師は最も患者と関わる機会が多いこと
・患者本人のみならず、家族の意見も聞きやすい立場であること
を中心に組み立てるのが良いでしょう。
例文
チーム医療において看護師は最も患者と直接関わる機会が多い職種である。
コミュニケーションを通じて、検査数値にはあらわれない患者の困りごとや不安を把握し、チームに共有することで「患者中心の医療」達成に貢献できる。
また、看護師は患者本人のみならず家族の意見や希望にも寄り添いやすい立場である。家族環境は退院後の生活や社会復帰に直結する重要な要素であり、チーム医療の方針に反映することによって包括的なサポートを提供することが可能になる。
まとめ
この記事では「チーム医療」に関する小論文の課題が出題された際、論点となりうる議題についてそのポイントをまとめ、例文を提示しました。
本記事に示した内容は一般的に言われている内容で小論文のベースとなるものであり、ここに自身の経験や独自の視点も加えて論じた文章にすることによってさらに評価も上がりやすくなると考えられます。
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