CBT試験とは? 受験の流れやメリットをわかりやすく解説 | 医師国家試験予備校MEDICINE

CBT試験とは? 受験の流れやメリットをわかりやすく解説 | 医師国家試験予備校MEDICINE

更新日:2025年6月11日

CBT(Computer Based Test)は、全国の医学部3・4年生を対象に実施されるコンピュータ形式の共用試験です。臨床実習に進む前の知識確認として位置づけられ、医学部の進級において最も重要な試験と位置付けられています。

しかし、CBTには普段の進級試験とは異なる注意点がいくつかあり、知らないで臨むと場合によっては無条件で不合格になってしまいます。

そこで本記事では、CBTの概要や受験の流れ、そして合格することで得られるメリット、受験時の注意点についてわかりやすく解説します。


小林 佑敬

東京大学医学部5年。
独自の勉強法でCBT試験は90%を超える高得点で突破。


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CBT試験とは?

一般にCBT試験といえば、Computer Based Testの略で、読んで字の如くコンピューターで受験する試験のことですが、医学部でCBT試験というと指すものが若干異なります。

通常医学部では入学から4年生の途中までは座学で基礎から臨床まで医学を学び、4年生の後半から大学附属の病院で卒業まで実習を行うというカリキュラムが組まれています。この座学から実習に切り替わるタイミングで行われる試験が医学部CBT試験です。

この試験の目的は端的にいえば、「その学生が病院で実習を行うことを許可しても大丈夫か」を判断することです。逆にいえば、CBT試験に不合格だった場合、「病院での実習の許可が降りなかった」という事になり、実習に進めないため自動的に留年となります。

このようにCBT試験は医学生の命運を握る試験であるにも関わらず、範囲は「1〜4年生で勉強したこと全て」と膨大で、医師国家試験を除けば医学部6年間の中でダントツで重い試験なのは確実でしょう。この記事ではそんなCBT試験について詳しく見ていきます。

公的な制度としてのCBT試験

公的な制度としてのCBT試験

各大学が作成し実施している定期試験などとは異なり、CBT試験は公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構(通称CATO)と呼ばれる国の機関が実施している試験です。

定期試験などは、通常授業を担当する教員が問題作成から採点、成績出力までを行っており、場合によっては落第しても頭を下げて頼み込めば…なんてことがあるかもしれませんがCBT試験はそうもいきません。法律で全医学生が受験するよう定められた「公的な」試験ですので、1点でも足りなければ容赦無く不合格になりますし何回も再試をやってくれるなんてことも絶対にありません。さらに、医学生は病院実習を行う前に知識・技能が一定水準に達していることを証明するために、CBT試験に合格しなければならない、という内容がこれまた法律で定められています。

要するに、CBT試験というのは国が医学生に課している非常に厳格な試験だということです。

CBT試験のシステム

前述のように、CBT試験は医学生の知識・技能の水準が病院実習を行うのに十分であるのかを評価するための試験です。この評価基準が大学によってバラバラでは困るので、大学に関係なく共通の基準を与えるために作られたのがCBT試験というわけです。

詳細は後述しますが、CBTは何万問かあるプール問題(蓄積された問題)の中からコンピューターがその場でランダムに320問抽出してくる形式です。受験会場では1人1台受験専用のPCが与えられ、そのPC上で問題を解いていきます。また、受験者間で選ばれた問題の難易度が違う事による、不公平が生じないような採点がなされる仕組みとなっています。

CBT試験開始までの流れ

CBT試験開始までの流れ

それでは、CBTの大枠を説明したところで、実際試験に臨むにあたり受験前から試験開始までの流れを見ていきましょう。

受験の申し込み

通常の定期試験であれば、授業に出席するといったこと以外受験にあたって特段手続きなどは不要なことが多いと思います。しかしCBT試験は別物です。先ほど述べたとおり公的な試験であるため、専用の申し込み手続きが必要となります。さらに別途受験料もかかります。

手続きや受験料の支払い方法、期限などは大学によって異なると思いますので、アナウンスを絶対に見逃さないよう注意しておきましょう。筆者の大学の場合には、授業用の掲示板のお知らせの中にしれっと「お支払いのご案内」的なやつが追加されていただけだった覚えがあります。しかし、万が一支払い期日を過ぎたり、手続きを忘れたりした場合にはそもそも受験資格を与えられず、せっかく勉強したのにCBTを受けることもなく留年確定なんていう悲惨な目にあいます。

こんなことが絶対に無いよう、申し込み、支払い、この二つは必要があれば確実に早いうちに済ませておきましょう!

受験会場(大学)に到着

CBTの受験会場は基本的に自分が所属している大学です。

ここからの流れは、あくまで参考として筆者が実際に受験した時の話を書こうと思います。

CBTでは、大学によって3つの部屋が用意されています。

①実際に試験を受験する会場となる部屋(以下受験会場)
②試験の合間に休憩で戻ることができる部屋(以下休憩室)
③大学に持ってきた荷物(カバンなど)を置いておく部屋(以下荷物置き場)

このうち荷物置き場は最初に荷物を置きに行くだけで、試験開始から終了までは受験会場か休憩室のどちらかにいる事になります。この2つの部屋以外に移動することは許されません。

受験会場へ移動

CBTでは休憩室に持ち込めるものと、受験会場に持ち込めるものがかなり厳格に管理されています。受験会場に持ち込めるのは基本的に事前申請した薬、ブランケット、ティッシュなどのみです。休憩室には上記に加えて昼食、飲み物などが持ち込めます。それ以外のもの全て(カバン、スマホ、筆記用具、勉強道具など)は試験終了まで荷物置き場に置いて行くことになります。

当日大学に到着したらまず荷物置き場に向かい、許可された物品のみを取り出し、支給される透明なビニール袋に入れて受験会場まで持っていきます。一度受験会場についてしまうとCBT終了まで荷物を取りに行くことも、外に出ることも許されません。

CBT試験開始後の流れ

次はCBT試験開始後の流れについて確認していきましょう。

CBT試験は全部で6ブロックに分かれていて、試験時間は1ブロックあたり1時間です。ブロックの間には10分間の休憩がある他、3ブロック終了時点で昼食の休憩を取れます。

試験時間が始まると、PCに自動的に問題が表示されます。一部を除き、試験時間内であれば問題を戻って解いたりすることも可能なので、確実に解けるものから解いていきましょう。

時間もかなり厳密に管理されているので、余裕を持って受験会場に戻り着席しておくようにしましょう。1秒でも指定された時間に遅れるとそのブロックが終わるまでは受験会場に入れません。1ブロック分の点数が0点になってしまい、CBT合格が絶望的になってしまいます。(筆者の大学には、過去に1ブロック分受けれなかったにも関わらず、合格した猛者の先輩がいるそうですが笑)

6ブロック全ての試験が終了すると最後にアンケートが実施されます。アンケートを回答し終えた人から受験会場を退出することができ、荷物置き場に戻って帰宅となります。

医学部のCBT試験における注意点

医学部のCBT試験における注意点

CBT試験を受験する際には、いくつかの重要な注意点があります。これまで勉強してきた実力を発揮するためにも、以下に上げる注意点は押さえておきたいところです。

・当日解く問題は人によって全然違う
・試験のルールはかなり厳格である

当日解く問題は人によって全然違う

「CBT試験のシステム」のところで少し触れましたが、CBT試験では何万問かあるプール問題の中からコンピューターがランダムに問題を選んで出題してきます。そのため、受験生一人一人に全く異なるセットの問題が出題されます。当然問題の難易度も人によってバラつきがありますが、そこは不公平が生じないような仕組みになっています。

CBTの成績は項目応答理論(IRT)という方式で算出されます。これは、難しい問題(過去に解いた受験生の正答率が低かった問題)は正解すると少し大きめに点数が加算され、逆に簡単な問題に正解しても少ししか加算されないという仕組みです。そのため、当日解く事になる問題の難易度の影響は小さく、成績は純粋に実力を反映したものになっています。

運が悪ければ、難しい問題ばかりにあたってしまう可能性もあります。筆者の同級生で寄生虫の卵を見分ける問題(紛らわしいのであまりちゃんと覚えていない人が多い)が五問も出た人がいたりしました。そのようなことがあっても、焦ることなく落ち着いて、取れる問題を取りに行く姿勢が重要です。

また、出題される問題は合計320問ですが、そのうち採点対象となるのは240問と言われています。残りの80問は次年度以降プール問題に加えるかどうかを判別するために出題されている問題です。極端に難しい問題などは採点対象外の可能性も十分ありますので、とにかく解けないからといって焦らないことが重要です。実際、筆者も周りの同級生も自分の体感よりも1割ほど正答率が高く出ています。

試験のルールはかなり厳格である

試験の流れのところで述べましたが、受験会場に持ち込める物品はかなり厳しく制限されています。例えば受験会場にはペン一本でも持ち込んだ瞬間に不正行為で失格となります。また勉強道具も全て荷物置き場に置いていかなければならないので、休憩時間に不安なところを確認するなんてこともできません。試験を解きながら歯痒い思いをせずに済むよう、覚えておくべきことは必ず当日の朝までに詰め込みましょう。

試験は朝から夕方までかかるかなりの長丁場で肉体的にも精神的にもかなり疲弊します。そのため、ルールの範囲内で快適に過ごす工夫は必須と言えます。例えば、受験会場になっている教室の机と椅子の高さが微妙にあわず、腕が疲れるとか、座面が硬いとか、部屋が乾燥しているとか些細なことがかなりのストレスになります。事前に会場となる教室を確認し、先輩などにも気になったことが無いか確認しておくと良いでしょう。事前に申請すれば、ブランケットや目薬、クッションなども持ち込むことが可能かもしれません。

まとめ

CBT試験は、ほとんどの医学部生にとって6年間の学生生活で最大の山場となるでしょう。覚えなければいけない量も膨大で、対策には半年ほどかかります。

本記事では、CBT試験の概要や受験方法、受験当日の流れ、さらには注意点について詳しく解説しました。これらの情報を参考にし、しっかりと準備を整えて試験に臨むことで、皆さんの実力を出し切っていただければと思います。

最後に、CBT試験で問われた内容はその後の病院実習でも必須のものとなります。

試験に合格するだけにとどまらず、実習を有意義なものにするために、CBTで学んだ事項は忘れないようにしておきましょう。病院の先生方は過去に皆さんと同じ道をたどってきた方達なので、学生の苦労は非常によくわかっておられます。実習で先生から問題を出された時に、スラスラと答えることができれば評価が上がること間違いなしです。

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