医学部の解剖実習とは?実習や試験のポイントを解説 | 医師国家試験予備校MEDICINE

医学部の科目で最重要とされるのが「解剖実習」です。献体を用いて、人体の構造を直接観察しながら解剖への理解を深めていきます。緊張感のある現場で、初めて医学の重みを実感する学生も少なくありません。
そこで本記事では、医学部で行われる解剖実習の内容や進級試験の形式までを詳しく紹介し、解剖実習を乗り切るための勉強法や試験対策、心構えについても徹底解説します。
目次
医学部の解剖実習は何年生でやるのか?実習期間はどれくらい?

医学部における解剖実習は、通常、2年生または3年生の時期に行われます。解剖実習は、医学教育の中でも特に重要な位置を占めており、学生が人体の構造を深く理解するための貴重な機会です。
実習期間は大学によって異なりますが、一般的には数週間から数ヶ月にわたって行われます。この期間中、学生たちは献体を用いて、実際に手を動かしながら解剖を行い、各器官や組織の位置関係や機能を学びます。解剖実習は、単なる知識の習得にとどまらず、医師としての倫理観や責任感を育む場でもあります。
解剖実習のスケジュールは、大学のカリキュラムに基づいて組まれており、実習の前には予備講義や準備が行われることが一般的です。はじめに講義を通して解剖学の学びを深めつつ、次に実際に解剖を行うことで人体への理解を深めていきます。
医学部解剖実習の内容

医学部の解剖実習はどのような流れで行われるのでしょうか?
医学部の解剖実習は一般的に以下の流れで行われます。
①班分けイベント
②献体とご対面
③解剖開始
④口頭試問・筆記試験
①班分け
解剖実習では、学生たちは通常、数名ずつのグループに分けられます。この班分けは、実習の効率を高めるために重要な役割を果たします。一般的には、各班は4〜6人程度で構成され、班員同士が協力しながら解剖を進めることが求められます。
班内では、役割分担が行われることもあります。例えば、解剖の進行役や記録係、観察役など、それぞれの得意分野を活かして協力し合うことで、より深い理解を得ることができます。このような班活動を通じて、学生たちは解剖学の知識を深めるだけでなく、チームワークやコミュニケーション能力も養うことができるのです。
この解剖班で仲良くなった友人関係は長く続くことが多く、筆者も解剖班が同じだった友人とは解剖実習から何年も経った今でもたまに食事に行ったりします。CBTや国試の勉強会を共に行う戦友のような存在でもありました。
②献体とご対面
解剖実習の最初のステップとして、学生たちは献体と対面します。この瞬間は、医学部生にとって非常に特別であり、同時に緊張感を伴うものです。献体は、医学教育のために提供された人間の遺体であり、尊厳を理解し、感謝の気持ちを持って接することが求められます。
献体に対する敬意を表すため、実習前には献体に対する感謝の意を示す儀式が行われることが一般的です。このような儀式を通じて、学生たちは医学の道を歩む者としての自覚を新たにし、献体に対する感謝の念を持つことが重要です。解剖実習は単なる技術習得の場ではなく、人間の命や尊厳について考えさせられる貴重な経験となります。
③解剖開始
実際の解剖が始まると、学生たちは班ごとに分かれ、指導教員の指示のもとで解剖を進めていきます。最初は、解剖用の器具の使い方や、解剖の手順についての説明が行われます。安全かつ効果的に解剖を行うための基礎を学習します
解剖の過程では、筋肉や神経、血管など、人体の構造を直接観察しながら、解剖学の知識を実践的に学ぶことができますが、神経や血管などは丁寧に剖出しないと、すぐに千切れてしまいます。
実際、筆者が解剖実習に参加した際も重要な神経を何度か千切ってしまってひんしゅくを買っていた班員がいました。なので、剖出しやすい部位、しにくい部位を見極め、班員の器用さをもとにしっかり役割分担を行う必要があります。
口頭試問・筆記試験
多くの学校で、解剖実習の途中や最後には、口頭試問と筆記試験が行われます。
口頭試問では、教員が学生に対して解剖した部位やその機能、関連する解剖学的構造について質問を行います。
筆者が受けた口頭試問では、実際の解剖中の献体からいくつかの神経や動脈、筋肉などを教員が指し示して、その名前や解剖学的役割などを答えるという形式でした。
余談ですが、解剖が雑で神経や動脈がボロボロになっていると、残っている構造から教員は質問することになるので、試問の内容がとても簡易的なものになります。これは楽ではあるのですが、学習効果は低くなってしまうので解剖は丁寧に行いましょう。
一方、筆記試験では、解剖学の基礎知識や実習内容に関する問題が出題されます。こちらは、非常に広範囲にわたる知識を整理し、記憶することが求められるため、事前の準備が欠かせません。決して一夜漬けでは間に合いません。
また、解剖学は臨床医学の基礎となる非常に大事な科目なので、この試験対策で過去問の頻出事項だけを覚えた人と、大まかな位置関係だけを覚えた人と、生理学的機能や疾患などと関連づけてちゃんと理解した人でその後の科目や病院実習での楽さはかなり変わってきます。
正直筆者は、当時過去問の頻出事項だけを覚えていたので、臨床医学の学習の時に非常に苦労しました。また、病院実習の時は周りの生徒が当たり前に知っていることを知らなかったりして恥をかいたこともあるので、ここは気合を入れて学習することを強くオススメします!
このように、口頭試問と筆記試験は解剖実習の集大成とも言えるものであり、学生にとっては自らの学びを振り返る貴重な機会です。しっかりとした準備を行い、自信を持って臨むことが、実習を成功させる鍵となります。
解剖実習の勉強法 試験対策まで解説
解剖実習を最大限有効活用するためにはどのような学習をすれば良いでしょうか.
医学部の解剖実習の勉強では、以下の3つの点に注意することが大切です。
①予習をして実習に臨む
②解剖後、その日に行った範囲の復習をする
③アウトプットの練習をする
予習をして実習に臨む
解剖実習に臨む前の予習は、学生にとって非常に重要です。解剖学は複雑な人体の構造を理解するための基礎であり、事前知識を身につけておくことで、実習中の理解度が大きく向上します。具体的には、解剖する部位の名称や位置、機能についてしっかりと学んでおくことが求められます。
予習では、実際の解剖に関連する動画や資料を活用することで、視覚的に理解を深めることが効果的です。特に、アプリの3Dアトラスなどを利用することで、立体的な構造を把握しやすくなります。
さらに、同じ班の仲間と一緒に予習を行うことで、互いに教え合いながら理解を深めることもおすすめです。グループでのディスカッションを通じて、疑問点を解消し、知識を定着させることができます。
手前味噌で恐縮ですが、筆者は手先が器用だったので、解剖学実習では結構重宝されました。しかし、自分が何をやっているかは正直あまりよくわからないままとりあえず丁寧に神経や血管の剖出をしていた記憶があります。
筆者は解剖学の試験対策を行うときにようやく実習での記憶を蘇らせながら、自分が何をやっていたかを理解しましたが、これでは学習効率が非常に悪いので、面倒でもぜひ予習をしてから実習に臨むことを強くお勧めします!
解剖後、その日に行った範囲の復習をする
解剖実習は、単に解剖を行うだけではなく、その後の復習が非常に重要です。実習が終わったその日のうちに、解剖した部位や構造についての復習を行うことで、記憶が定着しやすくなります。解剖中に得た知識や感覚は、時間が経つにつれて薄れてしまうことが多いため、早めの復習が効果的です。
具体的には、実習で観察した解剖部位の名称や機能、周囲の構造との関係を整理し、ノートにまとめることをお勧めします。また、実習中に感じた疑問点や不明点を洗い出し、それに対する答えを教科書や参考書で確認することも重要です。このプロセスを通じて、解剖学の理解が深まり、次回の実習や試験に向けた準備が整います。
さらに、同じ班の仲間と復習を行うことで、互いに教え合い、理解を深めることができます。グループでのディスカッションは、知識を定着させるだけでなく、他の視点からの理解を得る良い機会にもなります。解剖実習は一度きりの貴重な経験ですので、その日の学びをしっかりと振り返り、次に活かすことが大切です。
アウトプットの練習をする

解剖実習を成功させるためには、知識をただインプットするだけでは不十分です。特に解剖学のような専門的な分野では、学んだ内容を実際に使える形でアウトプットすることが重要です。アウトプットの練習は、理解を深めるだけでなく、試験対策にも大いに役立ちます。
まず、仲間とグループを作り、解剖した部位についてのプレゼンテーションを行うことをお勧めします。自分の言葉で説明することで、知識が定着しやすくなります。また、他の学生の説明を聞くことで、異なる視点や理解の仕方を学ぶこともできます。これにより、解剖学の知識がより広がり、試験に向けた準備が整います。
さらに、模擬試験や口頭試問の形式で自分の理解度を確認することも効果的です。友人や先輩に問題を出してもらい、解答することで、実際の試験に近い環境で練習できます。このようなアウトプットの機会を増やすことで、緊張感を持って試験に臨むことができ、自信を持って解剖実習を乗り切ることができるでしょう。
最後に、解剖実習の内容を日記やノートにまとめることもおすすめです。自分の言葉で整理することで、理解が深まり、後から見返したときにも役立ちます。アウトプットの練習を通じて、解剖学の知識をしっかりと身につけ、実習を充実したものにしましょう。
筆者は整理しやすいように、Googleスプレッドシート上に、各臓器に関するファイルを作成し、その臓器に関連する解剖学的知識、生理学的知識、疾患の知識などをまとめて一括で復習できるようにしています。
解剖実習を乗り切るためのポイント

解剖自習にあたって事前に知っておくべき注意点がいくつかあります。第一に、解剖実習では、実際の人体に触れるため、倫理的な側面や献体への感謝の気持ちを忘れずに持つことが重要です。この姿勢が、実習に臨む際の心の安定につながります。
次に、班のメンバーとのコミュニケーションを大切にしましょう。解剖はチームで行う作業であり、互いに助け合うことでより深い理解が得られます。班内での役割分担を明確にし、効率的に作業を進めることが求められます。また、実習中はメモを取ることも忘れずに。後で復習する際に役立つだけでなく、実習中の理解を深める助けにもなります。
最後に、実習後の振り返りを欠かさないことが重要です。実習が終わったら、その日の内容をしっかりと復習し、疑問点を解消しておくことで、次回の実習に向けた準備が整います。これらのポイントを意識することで、解剖実習をより有意義なものにすることができるでしょう。
解剖実習は人生に一度しかない貴重な経験です!
解剖実習は、医学部生にとって非常に特別な経験です。実習で行う解剖は系統解剖というのですが、専門の大学院に入らない限り、人生で一度しか行うことができません。
大学2、3年生という遊びたい盛りに行われるため、なかなか誘惑が多い時期ですし、実習に力を入れて取り組みづらいというのも非常に分かりますし、筆者は実際そうでした。
しかしこの実習を通じて、学生たちは人体の構造を直接観察し、解剖学の知識を深めることができ、それはあなたの医師としての基礎力を作ります。臨床において、教科書にない例外的な状況に対応する時、助けてくれるのは基礎医学の知識です。
またそれだけでなく、医療の現場で求められる倫理観や責任感も養うことができます。解剖実習は長い期間行われ、次第に慣れてきて献体に触れる緊張感が薄れてくることもありますが、献体に対する感謝の気持ちは忘れずに実習に臨むことが重要です。
また、解剖実習は単なる学びの場ではなく、仲間との絆を深める機会でもあります。実習を通じて得た友人関係は、卒業後の医師としてのキャリアにおいても大いに役立つことでしょう。
この貴重な経験を最大限に活かすためには、事前の準備や復習が欠かせません。解剖実習を通じて得た知識や技術は、今後の学びや試験においても重要な要素となります。解剖実習は人生に一度しかない特別な機会ですので、しっかりと向き合い、充実した時間を過ごすことを心がけましょう。
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