第120回医師国家試験の日程と時間割、過去の合格率について解説 | 医師国家試験予備校MEDICINE

第120回医師国家試験の日程と時間割、過去の合格率について解説 | 医師国家試験予備校MEDICINE

更新日:2025年7月8日

2025年2月8日(土)および9日(日)に行われた第119回医師国家試験では、10,282人が受験し、9,486人が合格。合格率は92.3%という結果に終わりました。2026年に行われる第120回医師国家試験に向けて既に勉強を始めている医学生も多いことでしょう。

そこで本記事では、第120回医師国家試験の日程と時間割、過去の合格率について解説し、医師国家試験予備校講師が次の医師国家試験に合格するための戦略について解説します。

第120回医師国家試験の概要

 まずはじめに、第120回医師国家試験の試験概要について確認します。

試験日

2026年(令和8年) 2月7日(土)・8日(日)

試験会場

北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県、沖縄県
各都道府県の受験会場詳細はこちら

受験会場は、上記12都道府県のうち最寄駅となります。受験票が届くまで受験会場は確定しないので、注意が必要です。受験会場は毎年変わる可能性があるので、しっかりチェックするようにしましょう。

願書の配布期間

2025年10月中旬以降

受験願書を含め、受験に必要な書類は各大学で取得する事ができるほか、医師国家試験運営本部事務所または医師国家試験運営臨時事務所、厚生労働省からも入手することが可能です。

申込期間

2025年11月4日(火)〜28日(金)

受験票の交付

2026年1月26日(月)まで

受験料

15,300円
収入印紙を郵便局等で購入し受験願書に貼り付ける。

合格発表

2026年3月16日(月) 午後2時
厚生労働省のホームページにて合格者の受験番号が掲載。

解答発表

2026年(令和7年)4月中旬

厚生労働省のホームページの「資格・試験会場」のページにて、合格者の受験地・受験番号が掲載されます。

申込に必要な書類

・受験願書(受験料15,300円の収入印紙貼付)
・証明写真
・返信用封筒
・卒業見込証明書、卒業証明書など受験資格証明に必要な書類

医師国家試験の受験資格

医師国家試験の受験には、以下のいずれかを満たしている必要があります。

・国内大学医学部の卒業(見込)
・外国の医学部を卒業している、外国の医師免許を取得した人が日本で医師免許を取得する場合、厚生労働省の「医師国家試験受験資格認定」を受ける

医師国家試験の試験科目・配点

 医師国家試験の出題基準は以下のように定められています。
 参考:厚生労働省 令和6年版医師国家試験出題基準について

【必修の基本的事項】

【医学総論】

科目割合
保健医療論約13%
予防と健康管理・増進約17%
人体の正常構造と機能 約9%
生殖、発生、成長、発達、加齢約9%
病因、病態生理 約12%
症候約12%
診察約7%
検査約9%
治療約13%

【医学各論】

科目割合
先天異常、周産期の異常、成長・発達の異常約5%
精神・心身医学的疾患約5%
皮膚・頭頸部疾患約11%
呼吸器・胸壁・縦隔疾患約7%
心臓・脈管疾患約10%
消化器・腹壁・腹膜疾患約13%
血液・造血器疾患約5%
腎・泌尿器・生殖器疾患 約12%
神経・運動器疾患 約9%
内分泌・代謝・栄養・乳腺疾患約8%
アレルギー性疾患、膠原病、免疫病約5%
感染性疾患約8%
生活環境因子・職業性因子による疾患約5%

直近5年の医師国家試験を分析すると特に出題が多かったのは以下の科目になります。

・消化器
・循環器
・内分泌・代謝
・感染症
・呼吸器
・神経
・小児科
・産婦人科
・救急
・精神科
・公衆衛生

医師国家試験の出題数・配点・合格基準

医師国家試験の出題数・配点・合格基準は以下の通りになっています。

出題数配点合格基準
必修問題一般問題50問50点満点(1問1点)160点以上
臨床実地問題50問150点満点(1問3点)
一般・臨床問題300問300点満点(1問1点)230点以上
合計400問500点満点390点以上

*上記に加え、禁忌選択肢選択数が3問以下を満たす必要があります。

一般臨床問題の合格点は相対評価で決定されますが、例年75%前後が合格最低点となります。

したがって、これから医師国家試験を受験される方は、必修問題・一般臨床問題ともに、80%の得点率を目指して勉強すると良いでしょう。

また、過去3回の医師国家試験の合格基準は以下のようになっています。

実施日 合格発表日 合格率 合格基準
一般 臨床 必修
新卒 既卒 全体 得点基準 得点率 得点基準 得点率 得点基準 得点率
第119回 2025年2月8日(土)~9日(日) 2025年3月14日(金) 95.0%59.0%92.3% 221点以上/300点73.7%160点以上/200点80%
第118回 2024年2月3日(土)~4日(日) 2024年3月15日(金) 95.4%58.9%92.4% 230点以上/300点76.7%160点以上/200点80%
第117回 2023年2月4日(土) ~5日(日) 2023年 3月16日(木) 94.9%55.2%91.6% 220点以上/295点74.6%160点以上/200点80%

ここ数年は一般臨床問題の合格最低点が上昇傾向にありましたが、第119回医師国家試験では合格最低点が221点/300点となり、点数のインフレが一旦落ち着きました。

近年の合格最低点のインフレの背景には、医師国家試験の動画教材が発達し、過去問を解くだけでは大きな差がつかなくなったことなどが要因として考えられます。

医師国家試験の科目・問題形式について

 医師国家試験の問題分類については、科目ごとに分類する方法もありますが、後述している時間割で出題される内容をもとに分類するとわかりやすいでしょう。

 医師国家試験の問題は大きく以下の3つに分けることができます。

医師国家試験の科目内容
各論疾患ごとの知識を問う
総論分野横断型の知識を問う
必修医師免許を取るための最低限の知識を問う

1日に各論・必修・総論の試験が1コマずつ実施されます。

上記のどの分野でも問題の構造によって、「一般問題」と「臨床問題」に分かれます。

問題の分類内容
一般問題テーマが示され、その知識が問われる
臨床問題「⬜︎歳○性・・・」のように症例提示がされる問題

一般問題の例(119A2)

パソコンで長時間の作業をする若年労働者に生じやすい,頸部痛と上肢のしびれをきたす疾患はどれか.

a 頸肩腕障害

b 肩関節周囲炎

c 肘部管症候群

d 変形性頚椎症

e 頚椎後縦靱帯骨化症

臨床問題の例(119A27)

45歳の男性.飲酒の量が多いのではないかと心配した妻に連れられて来院した.初回飲酒は20歳,次第に飲酒回数と量が増え,30歳ごろから連日飲酒するようになった.最近数ヵ月間の飲酒量は,日本酒1升/日で会社に行くことができなくなっていたという.診察時,アルコール臭が強く意識がもうろうとしている.身長175cm,体重58kg.脈拍80/分,整.血圧140/82mmHg.眼球運動障害と失調性歩行を認める.血液所見:赤血球368万,Hb 10.9g/dL,Ht 37%,白血球3,800,血小板11万.血液生化学所見:総蛋白5.5g/dL,アルブミン2.9g/dL,総ビリルビン1.2mg/dL,直接ビリルビン0.6mg/dL,AST 88U/L,ALT 76U/L,LD 177U/L(基準124〜222),ALP 103U/L(基準38〜113),γ-GT 302U/L(基準13〜64),アミラーゼ135U/L(基準44〜132),CK 342U/L(基準59〜248),アンモニア40μg/dL(基準18〜48),尿素窒素12mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,尿酸10.9mg/dL,血糖88mg/dL,HbA1c 6.1%(基準4.9〜6.0),Na 131mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 97mEq/L.
追加の血液検査結果を待たずに,この患者に投与すべきなのはどれか.
a 亜鉛
b 鉄剤
c 葉酸
d ビタミンD
e ビタミンB1

臨床問題には1症例に複数の問題がついているものがあり、これを「臨床長文問題」と呼びます。臨床長文問題では、必修では2連問、総論問題では3連問で出題されます。

また、医師国家試験は選択肢や解答のタイプによって以下のように分類されています。

問題ごとの分類内容
A問題五者択一(5つの選択肢の中から適切なものを一つ選ぶ)
X2, X3問題五者択二,択三(5つの選択肢の中から適切なものを2つまたは3つ選ぶ)
多肢選択問題選択肢の数が6つ以上ある
計算問題数字で回答する

試験当日の時間割

試験当日の時間割は以下のようになっています。

分類試験時間時間割
1日目8:55~説明開始
A 各論9:30〜12:15Aブロック(一般・臨床)試験
13:10〜説明開始
B 必修13:35〜15:10Bブロック(必修)試験
15:45〜説明開始
C 総論16:00〜18:30Cブロック(一般・臨床)試験
2日目8:55~説明開始
D 各論9:30〜12:15Dブロック(一般・臨床)試験
13:10〜説明開始
E 必修13:35〜15:10Eブロック(必修)試験
15:40〜説明開始
F 総論16:00〜18:30Fブロック(一般・臨床)試験

医師国家試験は2日間にわたって行われます。試験時間が非常に長く、2日間にわかって高い集中力を発揮することが要求されます。

普段から本番を意識した勉強を行うことで、長期間の試験でも集中力を維持できる体制を整えることが非常に重要です。

合格基準・合格率の推移

過去10年間の医師国家試験の合格基準・合格率の推移は以下のようになっています。

回数 施行年月日 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
1192025.2.8〜910,2829,48692.3
1182024.2.3〜410,3369,54792.4
1172023.2.4〜510,2939,43291.6
1162022.2.5〜610,0619,22291.7
1152021.2.6〜79,9109,05891.4
1142020.2.8〜910,1409,34192.1
1132019.2.9〜1010,1469,02989.0
1122018.2.10〜1110,0109,02490.1
1112017.2.11〜139,6188,53388.7
1102016.2.6〜89,4348,63091.5

必修問題の合格点は80%と変化はありません。一方、上述のように、一般臨床問題の合格最低点が上昇傾向にあります。

しかし、医師国家試験の合格率は90%を維持しているため、学習計画をしっかり立てて着実に勉強していけば合格できる試験であることがお分かりいただけるでしょう。

医師国家試験に合格するには?

医師国家試験に合格するには?

 では、上記の傾向を踏まえ、医師国家試験に合格するにはどのような対策を行えば良いのでしょうか。

 医師国家試験に合格するために重要なのは、以下の3点になります。

・学習計画を作って計画的に学習する
・過去問の丸暗記ではなく、病態生理から理解することを心がける
・正答率が高い問題を確実に得点する

学習計画を作って計画的に学習する

国試本科コース カリキュラム
国試本科コース カリキュラム

 医学部の進級試験とは異なり、医師国家試験は遅くとも試験本番の半年前から計画的に学習を進めることが大切です。

 クエスチョンバンク(QB)の問題数で言うと最低でも約7,000問の問題演習をこなす必要があります。

 学習計画を立てる際は本番から逆算して計画を立てることを心がけましょう。例えば、大学6年の11月から大手予備校の模試を受験することを考えると、それまでに試験範囲を1周しておく必要があります。平均的な受験生の学習スピードが、メジャー科目5ヶ月、小児科・産婦人科2ヶ月、マイナー科目2ヶ月、公衆衛生1ヶ月とすると、合計で10ヶ月かかるため、このスピード感だと5年生の1月から国試対策を始めていく必要があるとお分かりいただけると思います。

 ほとんどの受験生は試験範囲を1周する頃には、はじめに勉強した内容を忘れてしまっています。したがって、復習に費やす時間も計算に入れながら学習計画を立てる必要があります。

 これらを踏まえると、医師国家試験の対策は大学5年の後半から行うことをMEDICINEでは推奨しています。

 
 医師国家試験の勉強法についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみると良いでしょう。

参考:医師国家試験のための勉強法|QBの使い方を東大卒講師が解説【2025年7月更新】

過去問の丸暗記ではなく、病態生理から理解することを心がける

 動画講義を見るせよQBを解くにせよ、過去問を丸暗記するような勉強では合格をつかむことはできません。

 医師国家試験の勉強では、病態生理を正確に理解することを心がけましょう。病態生理とは、どのような機序で病気が起こるのかを理解することです。例えば、神経の分野では、脊髄の後索が障害されると深部感覚障害が起こりますが、この機序は錐体路や後索・内側毛帯路・皮質脊髄路など正常の生理学が身についているとすんなり理解する事ができるでしょう。

 病態生理から丁寧に理解することが、試験範囲が膨大な医師国家試験を効率よく勉強するための近道になります。

正答率が高い問題を確実に得点する

正答率が高い問題を確実に得点する

 医師国家試験は合格率が90%を超える試験です。

 これは言い換えれば、「平均的な受験生が正解できる問題を拾っていけば、確実に合格できる試験である」と言うことになります。医学部入試は成績上位に入らないと合格できませんが、医師国家試験はいわば「みんなと同じことを着実にこなせば合格できる試験」です。

 したがって、QBで過去問演習をする際には、正答率が60%を超える問題を解けるように勉強していきましょう。言い換えれば、正答率60%以下の問題は最悪解かなくても問題ありません。医師国家試験予備校MEDICINEでも、国試まで残り3ヶ月くらいしかなくてQBが進んでいない受講生には、正答率が60%以上の問題でフィルタリングして演習するように指導しています。


佐々木京聖

監修:
医師国家試験予備校MEDICINE 塾長・医師 佐々木京聖

医師。東京大学医学部卒。医学生の個別指導歴9年。大手医師国家試験予備校で、在学時より医学生の個別指導の経験を積む。基礎医学からCBT・国試対策まで幅広く手掛ける。その後、医師国家試験予備校MEDICINEを設立し現在に至る。
学生時代には、塾講師として延べ100人以上の大学受験生(主に医学部・東大志望者)も指導。東大理三をはじめ、医学部を中心に多数の合格実績。自身の勉強法をまとめた書籍に、学生時代の書籍『現役東大生が教える超コスパ勉強法』(彩図社)がある。


まとめ

 以上、医師国家試験の日程と時間割、対策方法について解説しました。

 医師国家試験は試験範囲が膨大な試験ですが、計画的かつ戦略的に学習を進めれば高確率で合格をつかむ事ができる試験です。本記事が、これから医師国家試験に挑戦する受験生の少しでもお役に立てば幸いです。

 医師国家試験予備校MEDICINEでは、医師国家試験の対策が不安だ、勉強法がわからないと言う方向けに、無料相談会を行なっています。

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・一年に一回しかない国試で、本当に合格できるのか不安だ
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