医師国家試験に落ちる人の特徴とは?不合格になる理由を国試予備校講師が解説 | 医師国家試験予備校MEDICINE

更新日:2025年6月16日
医師国家試験は毎年一定数の不合格者が出る厳しい試験です。合格率は約90%と他国家資格と比較すると高い試験ですが、その裏で毎年約1,000人弱の受験生が不合格になっているのも事実です。
そこで本記事では、これまで多くの医師国試受験生を指導してきた医師国家試験予備校講師が、「医師国家試験に落ちる人の特徴」を5つに整理し、よくある失敗パターンとその背景、避けるべき行動を詳しく解説します。

医師国家試験予備校MEDICINE 塾長・医師 佐々木京聖
医師。東京大学医学部卒。医学生の個別指導歴9年。大手医師国家試験予備校で、在学時より医学生の個別指導の経験を積む。基礎医学からCBT・国試対策まで幅広く手掛ける。その後、医師国家試験予備校MEDICINEを設立し現在に至る。
学生時代には、塾講師として延べ100人以上の大学受験生(主に医学部・東大志望者)も指導。東大理三をはじめ、医学部を中心に多数の合格実績。自身の勉強法をまとめた書籍に、学生時代の書籍『現役東大生が教える超コスパ勉強法』(彩図社)がある。
医師国家試験予備校MEDICINEでは、医師国家試験の対策が不安だ、勉強法がわからないと言う方向けに、無料相談会を行なっています。
初回面談では、指導実績な豊富な東大卒講師に無料で30分間学習相談をしたり、アドバイスをもらうことができます。
・一年に一回しかない国試で、本当に合格できるのか不安だ
・このままの勉強のやり方で大丈夫なのか、確認しておきたい
このような悩みや不安がある方は、ぜひ一度ぜひこちらからご相談ください!
目次
医師国家試験はどれくらいの人が不合格になる?

医師国家試験は、日本の医師としての資格を得るための重要な試験であり、毎年10,000人を超える医学生・既卒生が受験します。厚生労働省のデータによると、医師国家試験の合格率は約90%前後で推移しており、この数字だけ見ると合格率は他の国家資格に対して非常に高く、簡単な試験だと勘違いされてしまいがちです。(第119回医師国家試験の概要はこちら)
しかし、大前提として全国の医学生は厳しい受験戦争を勝ち抜いた上で、6年間かけて医学を学んでいるのです。それでも10%の人、つまり1,000人弱が毎年不合格となってしまうことを考えると、決して楽観視はできません。
一度国試に落ちてしまうとマッチング(初期研修を行う病院を決定する、医学生の就職活動)に悪影響が出ることなどを考えると、ギリギリでの合格は非常にリスキーであり十分対策を行った上で余裕を持って合格することが大切です。
また、国試は一度失敗している既卒生の合格率が非常に低い試験です。筆者の大学には、国試を7浪してしまった方もいます。(医師国家試験の合格率の詳細はこちら)
国試で不合格になってしまう人の多くは、学習方法や試験対策に問題があります。例えば、試験直前に焦って勉強を始めたり、医学部の卒業試験で力尽きてしまったりするケースが多いです。また、正しい勉強法を理解していないために、効率的な学習ができずに不合格となることもあります。
医師国家試験に落ちる人の5つの特徴
それでは、医師国家試験に不合格になる人にはどのような特徴があるのでしょうか。
これまで多くの国試受験生を見てきた立場からお話しすると、医師国家試験に不合格になる人には以下の5つの特徴が見られます。
特徴①勉強を始めるのが遅い
特徴②医学部の卒業試験で力尽きてしまう
特徴③医師国家試験の正しい勉強法がわかっていない
特徴④アウトプットの練習をしていない
特徴⑤過去問の暗記になり、病態生理を正しく理解していない
特徴① 勉強を始めるのが遅い

医師国家試験に不合格となる多くの受験生に共通する特徴の一つが、勉強を始めるのが遅いことです。医師国家試験は、膨大な知識を必要とするため、早期からの計画的な学習が不可欠です。
しかし、受験生の中には、卒業試験や部活動など、日々の忙しさに追われ、試験の準備を後回しにしてしまう人が少なくありません。
勉強を始めるタイミングが遅れると、試験日が近づくにつれて焦りが生じ、効率的な学習が難しくなります。特に、医師国家試験は出題範囲が広く、単に過去問を暗記して知識を詰め込むだけでは合格は難しい試験です。
平均的な受験生の話をすると、医師国家試験の対策は卒業試験対策も含め、国試本番の1年前から行うべきです。医師国家試験は毎年2月上旬に行われるため、5年生の1〜2月ごろから対策を始めていきましょう。
特徴② 医学部の卒業試験で力尽きてしまう

医師国家試験に不合格となる理由の一つに、医学部の卒業試験で力尽きてしまうという特徴があります。医学部の卒業試験に向けた膨大な勉強に全力を注ぎ、その結果、試験が終わった後に疲れ果ててしまうことが少なくありません。
特に私立大学は卒業試験が数回に渡って実施されることが多く、筆者の友人も数回に渡る卒業試験対策で忙殺され、国試対策まで手が回らないと嘆いていました。このような状況では、医師国家試験に向けた準備が不十分になりがちです。第119回医師国家試験に向けてMEDICINEの個別指導を利用していた受講生には、「11月の国試で力尽きてしまい、1ヶ月間勉強していなかった」と1月上旬に問い合わせをされた方もいらっしゃりました。(その方は無事に国試に現役で合格し、現在は研修医生方を頑張られています。)
また国試と卒試では形式が違うことも多々あり、卒試対策がイコール国試対策とはならないこともしばしばあります。その上、卒業試験の前後は精神的にも肉体的にも疲労が蓄積しやすく、卒試が終わった後にうまく切り替えて国試対策をできないケースが多いです。
そのため、卒業試験と国家試験の両方を見据えて計画的に学習することが必要です。卒業試験の準備をしながらも、国家試験に向けた基礎知識の復習や問題演習を並行して行うことで、試験後の疲労感を軽減し、スムーズに国家試験の準備に移行することが可能になります。
特徴③ 医師国家試験の正しい勉強法がわかっていない
医師国家試験に不合格になる人の中には、勉強方法が適切でないために十分な成果を上げられないケースが多く見受けられます。特に、試験範囲が広く、出題形式も多様な医師国家試験では、戦略的な学習戦略が不可欠です。
結論から言うと、医師国家試験の勉強で大切なのは、「病態生理を正確に理解して学習を進めること」です。単に動画講義を順番に視聴したり過去問をやみくもに解き進めるだけでは合格から遠ざかってしまいます。
病態生理の理解では、「基礎医学の知識を確実にすること」は欠かせません。解剖学や生理学など、医学の基本的な概念や用語、人体がどのような構造・メカニズムで機能しているかをしっかりと理解することが、臨床医学を理解するための土台となります。
次に、各疾患が人体の機能のどういった部分に異常を来すのか、どういった特徴から他の疾患と鑑別することができるのかといった観点から学習することです。国試で出題される膨大な知識に対する解像度がぐっと上がるはずです。
医師国家試験の勉強法についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみると良いでしょう。
特徴④ アウトプットの練習をしていない

医師国家試験に合格するためには、動画講義を見て単に知識をインプットするだけでは不十分です。学んだ内容を積極的にアウトプットする訓練が大切です。
具体的なやり方は、模擬試験や過去問を解くことが有効です。試験の形式に慣れるとともに、自分の理解度を確認することができます。また、友人や同級生と勉強会を開き、互いに教え合ったり、口頭試問を行うのも良い方法です。
筆者の知人の医者の先生がよく仰っていたこととして、「国試を一人で勉強しようとすると落ちてしまう」という格言があります。医師国家試験は合格率が非常に高い試験です。したがって、「みんなと同じやり方で勉強する」ことを徹底すれば高確率で合格を掴み取ることができます。
積極的に友人と協力しつつ、問題の出し合いをしたり、一緒に症例研究をしたりして、独りよがりの勉強にならないように中して勉強していきましょう。
特徴⑤ 過去問の暗記になり、病態生理を正しく理解していない
医師国家試験に不合格となる一因として、過去問の暗記に偏りすぎてしまうことが挙げられます。多くの受験生は、過去問を解くことで試験の傾向を把握しようとしますが、単に問題を解くことに終始してしまうと、根本的な理解が欠けてしまいます。
前述のように、国試の勉強を進める際は、「病態生理の理解」が非常に大切です。
病態生理の理解が不十分となってしまう原因の一つとして、医学部の進級試験の過去問偏重傾向があります。
私立大学を始めとする多くの大学では、基礎医学や臨床医学の試験問題は過去問の使い回しであり、試験直前に過去問を詰め込み、試験が終わると忘れてしまう学生も少なくありません。
筆者の後輩でも、下垂体の組織画像を肺の組織画像と勘違いしていたけど、過去問を丸暗記して組織学の試験を再試験で合格していた方がいました(下垂体の前葉と後葉を右肺と左肺だと勘違いしていたそうです)。
このように人体の正常生理の理解ができないと、病態生理の理解も曖昧となってしまいます。病態生理を正しく理解することは、患者の症状や病気の進行を把握し、適切な治療法を選択するために不可欠です。
繰り返しになりますが、こういった病態生理の理解にはまず正常な人体の構造や機能の理解が不可欠です。そのため、国試対策においても基礎医学の理解は非常に重要なのです。基礎医学の勉強法にはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
医師国家試験合格に向けて1日でも早くスタートを切ろう!

医師国家試験に合格するためには、早めの準備が不可欠です。試験の難易度や範囲の広さを考えると、計画的に学習を進めることが重要です。試験に向けた学習は一朝一夕で成し遂げられるものではありません。日々の積み重ねが合格を引き寄せるのです。
特に、過去問を解いたり口頭試問を行ったりと、アウトプットを意識した勉強法を取り入れることで、知識を定着させることができます。さらに、病態生理の理解を深めることで、問題解決能力を高めることも重要です。
最後に、医師国家試験に向けての準備は、精神的な面でも大きな影響を与えます。早めにスタートを切ることで、余裕を持った学習が可能になり、ストレスを軽減することができます。合格を目指す皆さんは、ぜひ今日からでも学習を始めてみてください。
医師国家試験予備校MEDICINEでは、医師国家試験の対策が不安だ、勉強法がわからないと言う方向けに、無料相談会を行なっています。
初回面談では、指導実績な豊富な東大卒講師に無料で30分間学習相談をしたり、アドバイスをもらうことができます。
・一年に一回しかない国試で、本当に合格できるのか不安だ
・このままの勉強のやり方で大丈夫なのか、確認しておきたい
このような悩みや不安がある方は、ぜひ一度ぜひこちらからご相談ください!