医学部留年の実態と対策 – 原因から予防法、留年後の進路までを東大卒講師が解説【2025年1月更新】

 

医学部留年の実態と対策

更新日:2025年1月4日


 医師免許を取得するためには医学部を卒業して、医師国家試験に合格する必要があります。しかし、近年医学部の進級試験は年々厳しくなっており、特に低学年での留年が増加してきています。

 医学部で留年してしまうと、精神的な辛さや周囲からの孤立から鬱病になってしまったりするケースもあります。また、大学によっては、教授の一言で理不尽に留年させられるケースもなくはありません。

 そこでこの記事では、医学部で留年しやすい理由や留年するとどのようなデメリットがあるのかについて、医師国家試験予備校MEDICINEで医学生の指導歴9年の東大卒講師が解説します。実際の留年経験者の体験談を交えながら、医学部での留年が大学生活やマッチングにまでどのような影響を及ぼすのかまで詳しく解説していますので、ぜひ最後までお読みください!


佐々木京聖

医師国家試験予備校MEDICINE 塾長・医師 佐々木京聖

医師。東京大学医学部卒。医学生の個別指導歴9年。大手医師国家試験予備校で、在学時より医学生の個別指導の経験を積む。基礎医学からCBT・国試対策まで幅広く手掛ける。その後、医師国家試験予備校MEDICINEを設立し現在に至る。
学生時代には、塾講師として延べ100人以上の大学受験生(主に医学部・東大志望者)も指導。東大理三をはじめ、医学部を中心に多数の合格実績。自身の勉強法をまとめた書籍に、学生時代の書籍『現役東大生が教える超コスパ勉強法』(彩図社)がある。



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医学部で留年しやすい理由とは?

 例年、医師国家試験の合格率は90%を超えているのにも関わらず、医学部で留年しやすいのにはどのような理由があるのでしょうか。

 医学部で留年しやすい理由には、以下の4つが挙げられます。

  • 進級・卒業試験の厳しさ
  • 科目の難易度の高さ
  • 燃え尽き症候群
  • 各大学の医師国家試験の合格率を上げるため

 それぞれ、以下で詳しく解説していきます。

進級・卒業試験の厳しさ

 厚生労働省が2023年に発表した「医学部医学科における国家試験等の状況」に関するデータによると、全国の医学部の進級率は86.5%、卒業率は84.8 %となっており、およそ15%の医学生は留年を経験することとなります。
 これは他学部と比較しても高い傾向にあり、多くの医学生が進級や卒業試験で苦戦することとなります。
 ※進級率:1年生~6年生まで一度も留年しなかった人の割合。(最低修業年限での6年次在籍者÷入学者)
 ※卒業率:6年間一度も留年せずに卒業試験に合格した人の割合。(最低修業年限での卒業率÷入学者)

入学者
(編入時含む)
最低修業年限での
6年次在籍者
最低修業年限での
6年次進級率
最低修業年限での
卒業者
最低修業年限での
卒業率
国立大学 計4,9434,34287.8%4,28986.8%
公立大学 計84274488.4%74087.9%
私立大学 計3,6773,09684.2%2,99281.4%
全大学 計9,4628,18286.5%8,02184.8%

(出典:厚生労働省報道発表資料、文部科学省医学教育課調べ)
※データは平成30年度医学部入学者の進級率、卒業率を示している。

科目の難易度の高さ

 医学は人命を扱う仕事であるため、基礎医学から臨床医学に至るまで膨大な知識量が求められます。加えて、国際基準に合わせて改訂された「医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」により臨床実習が増加したため、医学生は座学に加えて体力的にもハードな日々を過ごすこととなります。

燃え尽き症候群

 

燃え尽き症候群

 近年の医学部人気に伴い、私立大学を中心として医学部入学へのハードルは年々増しています。そのため、医学部合格がゴールとなってしまい、入学した途端学習への意欲が低下してしまう学生が出てきます。特に、医学部の低学年は難易度の高い基礎医学の科目を数多く学習するため、燃え尽き症候群に注意する必要があります。

 また臨床実習が始まると、座学に加え長時間の実習により体力的・精神的な疲労が蓄積するため、次第に学習や実習への意欲が低下する恐れもあります。

各大学の医師国家試験の合格を上げるため

 各大学の医師国家試験の合格率を維持するために、医師国家試験に合格する見込みのない学生を進級試験や卒業試験で不合格にし、医師国家試験自体を受験させない大学もあります。

 医師国家試験の合格率は各大学の人気に直結しやすいため、私立大学を中心に、進級・卒業に高いハードルを課しているケースが散見されます。

医学部留年がもたらす悪影響

 医学部で留年してしまうと、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

 医学部で留年すると、医学生本人やそのご家庭に以下のような悪影響が及ぶことが想定されます。

  • 経済的負担の増加
  • 周囲からの孤立
  • マッチング・キャリアへの影響

経済的負担の増加

 医学部で留年すると追加で1年分の学費が必要となります。国公立大学では約50-60万、私立大学では約500-600万の負担増となり、下宿費用なども考慮すると経済的な負担は大幅に増加することとなります。

周囲からの孤立

孤独感

 留年により同級生との学習進度に差が生じることとなり、周囲から取り残されたような気持ちになり、孤独感を感じやすくなります。

 これまでの指導経験では、医学部の留年で鬱になってしまい、そのまま退学になってしまったケースもありました。
 また、同級生との横のつながりが希薄になることで、試験に関する情報が得られにくくなることも考えられます。

マッチング・キャリアへの影響

 医学生が初期研修を行う病院を決めるための「マッチング(医学生版就職活動)」にも悪影響を及ぼす可能性があります。また、卒業や医師免許の取得が遅れることで、キャリアの開始時期が遅れるばかりか、本来医師として働けた期間を学業に費やすこととなり、経済的な損失にも繋がります。

医学部での留年を防ぐための対策

 ここまでで、医学部で留年をしてしまうと、医学生の学校生活や就職活動に大きな影響が出たり、ご家庭への経済的な負担が増えることがわかりました。

 それでは、医学部での留年を防ぐには、どのような対策を行っていけば良いのでしょうか。

 医学部での留年対策としてまず行うべきは、以下の4つになります。

  • 試験の情報収集の徹底
  • 計画的な学習スケジュールの作成
  • 自走できる勉強方法の確立
  • 医師国家試験予備校の活用

試験の情報収集を徹底的に行う

 定期試験や進級試験に関する情報収集を徹底的に行うことです。試験科目や範囲が膨大になりがちな医学部の試験においては、情報戦が合否のカギを握るといっても過言ではありません。

 医学部の試験において事前に把握しておくべき情報は主に以下の3点です。

  • 講義資料のうち講義中に強調された内容
  • 過去問
  • 試験形式と合格基準

 それぞれについて具体的に解説していきます。

  1. 講義資料のうち講義中に強調された内容
    講義にきちんと出席しレジュメを復習するのはもちろんですが、中でも講義中に教授が強調していたポイントを中心に確認を進めましょう。頻繁に言及された項目は試験でも必須のポイントとなる可能性が高いです。
  2. 過去問
    先輩などから過去問を入手して解いてみましょう。できれば3年分取り組めると、試験の傾向や出題頻度の高い分野を十分に把握できてよいでしょう。限られた時間の中で教科書やレジュメを細部まで読み込むのは限界があるので、教科書やレジュメで大枠を把握したら、早期に過去問に取り掛かりましょう。ただ漫然と解くだけではなく、解説をしっかりと読み込み、関連する知識も体系的に理解するとより効果的です。
  3. 試験形式と合格基準
    医学部の定期試験では、①マークシート方式(単一選択多肢選択問題、複数選択多肢選択問題)、②記述式、③口頭試問など様々な出題パターンがあります。試験対策の粒度にも関わるため、早めにしっかりと把握しておきましょう。また、合格基準も忘れずに確認しておきましょう。試験の点数のみで評価されるのか、出席点やレポート点などの基礎点も加味されるのか、正確に把握しておく必要があります。

計画的な学習スケジュールを作成する

 上記で収集した情報を基に試験までの学習スケジュールを立てましょう。

 進級試験に向けた学習計画は、試験本番から逆算して計画を立てることが必要です。

 勉強を始まる前に、

  • 進級試験までどれくらいの時間が残されているのか
  • 試験科目数や、解くべき過去問の量
  • 復習するべきレジュメの量

などをおおまかに把握しましょう。

 上記が把握できたら、1日にどれくらい問題数をこなせばいいのか、やるべきことがはっきり見えてくると思います。

 例えば、

  • 2ヶ月(60日後)後に薬理学と病理学の試験がある
  • 確認するべきレジュメの枚数はそれぞれ500枚
  • 解くべき過去問はそれぞれ3年分で、毎年100問ずつ出題されている

 このような大学の場合、

  • それぞれの試験対策に使える時間は1ヶ月
  • 各科目、初めの15日間でレジュメの復習を行い、10日間で過去問演習5日間で総復習を行うとすると、レジュメは500÷15=約33枚、過去問は1日に100×3÷10=30問解いていく必要がある

 このように、おおまかな学習計画を立てると、学習の見通しははっきり持つことができます。

 大型の進級試験や科目数が多い卒業試験・医師国家試験の対策を行う場合は、学習計画を以下のような一枚の計画表に落とし込むことをお勧めします。

医師国家試験対策 スケジュール表
医師国家試験対策 スケジュール表 6年生4月から対策を始めた場合

 

自走できる勉強方法を身につける

 大学受験まではカリキュラムに従って授業が行われ、授業中に問題演習などのアウトプットの場がありましたが、大学生になると授業の時間を目一杯使って講義を実施するケースが一般的です。

 したがって、講義で学習した内容がどれくらい定着しているかを、定期的に自主学習で確認していく習慣を身につけることが重要です。上記で述べた講義資料のうち強調された内容や過去問を活用して、効率的に知識の習得を進めましょう。講義資料を確認するインプット型の学習だけではなく、レジュメの内容を口頭で説明できるか確認したり、過去問で問題演習を積むなど意識的にアウトプットの場を設けることがポイントです。

医師国家試験予備校を活用する

 試験対策として、大学講義・レジュメと過去問を用いた自主学習が基本的な対策となりますが、

  • 試験範囲が膨大でどこから手を付けたらよいか分からない
  • 自主学習のやり方があっているか不安だ
  • 口頭試問などをアウトプット交えた試験対策をしたい

といった医学生の方は、予備校の活用して学習を進めることをオススメします。


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留年してしまった場合の対処法

 医学部の進級試験や卒業試験に不合格になり、留年が確定してしまった場合は、どうすれば良いのでしょうか。

 医学部で留年が確定してしまった場合、学習面での戦略の改善とメンタルケアの両方を並行して行っていくことが非常に大切になります。

心構えと気持ちの切り替え

 留年は悲しいできごとではありますが、医学部では留年は珍しくありません。

 自分を過度に責めすぎず、今回の結果を機に学習方法の見直しを行い、不得意分野を克服するチャンスと前向きに捉えましょう
 大学の先輩・医師国家試験予備校などのアドバイスを積極的に求め、情報収集に努めましょう。

 最後に、心身共に健康であることが学業の継続には不可欠です。何か不調を感じたら早めに専門機関に相談するようにしましょう。

学習計画の立て直し

学習計画の立て直し

 医学部の進級試験で不合格になり、留年となってしまった場合には、まずは「自分に何が足りなかったのか」を正確に把握することが大切です。

  • インプットの時間は十分に確保できていたが、過去問などを使ったアウトプットの練習が不十分だった
  • 各科目における重要ポイントが掴めず漫然と暗記することに時間を割いてしまった
  • 課外活動などに気を取られて勉強に集中できなかった

 など、不合格となった要因を洗い出し、適切に対処する必要があります。自分だけで課題を洗い出すことが難しい場合、予備校など他者の力を借りるのも有効な手段です。

 試験範囲が広く暗記量が膨大な医学部では、勉強のペース配分や学習の比重の調整など、メリハリをつけながら学習を進めることが大切です。漫然と学習を進めてしまう前に、自分に足りなかった点を分析し、次の年度で確実に合格できるよう、スケジュールを可視化したうえで計画的に学習を進めましょう。

まとめ

 医学部の進級や留年を乗り越えるためには、適切な学習計画とモチベーション管理が欠かせません。また、困難な状況に直面したときには、孤立せずに周囲のサポートを活用することが重要です。本記事で紹介したポイントを実践することで、進級への道筋がより明確になるはずです。

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