【東大卒医師が解説!】医師国家試験勉強法大全: マイナー科目の効率的な勉強法

医師国家試験の対策で、マイナー科目は出題される問題数がそれぞれ少ないものの、どうやって対策をすればいいのか悩んでいる医学生は多いのではないかと思います。そこで本記事では、医学生の指導歴9年の医師が、合格点に達するためには、マイナー科目をどのように勉強していけば良いのか、勉強法から使うべき参考書まで解説していきます。


MEDICINE 塾長 佐々木京聖

医師。東京大学医学部卒。医学生の個別指導歴9年。在学時より医学生の個別指導の経験を積む。基礎医学からCBT・国試対策まで幅広く手掛ける。
学生時代には、塾講師として延べ100人以上の大学受験生(主に医学部・東大志望者)も指導。東大理三をはじめ、医学部を中心に多数の合格実績。自身の勉強法をまとめた書籍に、学生時代の書籍『現役東大生が教える超コスパ勉強法』(彩図社)がある。


マイナー科目の重要性

 医師国家試験におけるマイナー科目は、出題される問題数が各科目2~3問ほどです。

 出題される問題数が少ないこれらの科目をそもそも対策する必要はあるのでしょうか。

マイナー科目で合否が決まる?

マイナー科目はネーミングも影響していると思いますが、メジャー科に比べて対策が手薄になる人が多い傾向があります。

国家試験における出題割合が小さいというのは事実ですが、国家試験で取りこぼすことができない問題も数多く出題されますし、臨床現場ではマイナー科の知識は少なからず必要となります。例えば、国家試験での出題割合が低い整形外科疾患も、臨床では出くわす場面はかなり多いです。

医師国家試験に合格するための鉄則に、「皆が解ける問題を取りこぼさない」というものがあります。

いくらマイナー科目とはいえ、直近5年間で出題されたいたような問題は、他の受験生もしっかり対策をして臨んでくるため、対策をしていないと差をつけられてしまうでしょう。

少し勉強していれば解ける問題が多いのも事実です。そして、このような皆が解ける問題=パターンで解ける問題がマイナー科は多いのです。

したがって、時間がない方は、全部を網羅的に勉強しようとするよりも、まずは直近に出題されていた問題であったり、誰もが知っているであろう基本的な知識から身につけていく意識を持つのが良いでしょう。

時間がなければ一部を捨てるのも一手

とはいえ重箱の隅をつつく知識を身につければよいかというと、そんなこともありません。

マイナー科も当然細かい知識を求め続けるときりがないので、国試的に大事なところから順に、優先順位をつけて勉強していくこと(=国家試験に出にくい範囲は捨てる)ことも重要です。

試験直前でどうしても時間がない場合などは、戦略的に特定の科目を捨てるのも一つの手だと思います。(マイナー科目全てを捨てるのは推奨できません。)

より詳細な説明は以下の章で説明します。

各マイナー科目の勉強法

 ここでは、科目ごとにどのような意識でマイナー科目に取り組めば良いのかについて解説していきます。

 医学生専門塾MEDICINEでは、医学生の医師国家試験対策・進級・CBT対策に関する無料相談を受け付けています。指導経験豊富な東大卒医師が、学習計画の作成から短い期間での戦略を立てるところまで、相談することができるので、自分の勉強法が合っているのか相談してみたい方は、ぜひお問合せください。

精神科の勉強法

精神科は薬剤などが多岐にわたり覚えづらいですが、まず概要がつかめていない方は学校の系統講義もしくはQ-assistなどで全体像を掴むのが良いでしょう。

全体像をつかめたらQBを解いていきます。

この時、解いている問題が必修かどうかも気にするのが良いでしょう。

必修であっても精神科の頻出分野(統合失調症の症状、せん妄の症状、治療薬)が存在しますし、中には四字熟語で覚えにくいものが多いですが必ず抑えましょう。

そのうえで細かい知識は似ているところが問われがちですので、直近の過去問で出題された問題は直前期に必ず抑えましょう。

直近の試験ですと、境界性パーソナリティ障害が過去問で出ており、これは確実に押さえていた受験生が多く、正答率も高くなった回がありました。

眼科の勉強法

眼科もまずは動画講義などで全体の概要を掴みましょう。

そのうえで個別の知識を埋めるという形になりますが、個人的な印象としては治療法がややこしく、各治療法がそれぞれどの疾患に適応になるのか、整理して覚えることが求められます。

レビューブックなどを用いて直前期に整理すると良いかもしれません。

そのうえでQBを解くと国家試験のヤマが見えやすいでしょう。夜盲症で網膜色素変性が一対一で解答になる(もちろんビタミンA不足など、他の原因もあるのですが)ようにパターン問題が多いのも眼科の特徴かもしれません。

視野障害のパターンなど、覚えるべき用語も多いですのである程度余裕を持って勉強を始めると安心でしょう。

耳鼻科の勉強法

耳鼻科も同様、動画講義をまずは聞き全体像を理解しましょう。

そのうえで過去問を解きましょう。鼓膜の所見やオージオグラム、咽頭所見など、視覚的な情報から答えを導かせる問題が多い印象ですので、レビューブックの図を使うなどしてそれぞれの疾患の特徴を押さえるとよいでしょう。

整形外科の勉強法

整形外科は国家試験での出題率がそこまで高くなく、狙われる分野もある程度定まっています。(リウマチ、変形性膝関節症、大腿骨頭壊死、腰部脊柱管狭窄症など)

したがって、対策はしやすいので、時間が極めて足りない場合は分野を絞ることはできますが、頻出とは言えない範囲(骨腫瘍など)も直前期には不安になると思うので先に全範囲を動画講義などで押さえておきましょう。

リハビリの器具も頻出ですし過去問以外の対策が難しいので、日頃の臨床実習などで見ておきつつ対応するとよいでしょう。

皮膚科の勉強法

皮膚科も整形外科と似ており、毎年のように出る範囲(尋常性天疱瘡など)がある程度定まっていますし、しっかり全範囲対策しようとすると覚えることが多い科でもあります。

分野を絞りつつ、どれくらい本番まで時間が残されているのかに応じて全範囲をさらっていくのが良いでしょう。

ただ、必修に頻出の範囲(皮膚の状態を表す皮膚科用語など)は直前期に過去問やレビューブックにてしっかり復習しましょう。

麻酔科の勉強法

麻酔科は国家試験ではかなり問題数が少なく、QBも20問程度しかありません。

こちらは過去問ベースで勉強すると時間帯効果は高いと思います。

放射線科の攻略法

放射線科も出題数の少ない範囲ですが、基本的な内容(MRI T1, T2の見分け方や放射線治療の確率的影響など)および国家試験にやや頻出の範囲(放射線治療の種類とその適応)などは得点源なので押さえておきましょう。

直前期に語呂合わせなどで憶えておくことがおすすめです。

効果的な参考書の使い方

マイナー科目を対策する上で、参考書は何を使っていくべきなのでしょうか。

参考書に関しては特別なものを使う必要はなく、基本的に以下の二つを使っておけば合格点に十分達することができます。

・QB(クエスチョンバンク)
・RB(レビューブック)

クエスチョン・バンクの活用法

マイナー科は出題範囲に対して出題数が少ないので、過去問(QB)対策はとても重要といえるでしょう。

また、機序を問うというよりは、パターン的な丸暗記がものをいうことが多いので、QBの問題の解説にたまに登場する医ンプットという欄に乗っている語呂合わせを有効活用しましょう。

直前期は頻出分野を中心に、過去5年分は少なくとも完璧にしましょう。

QBの使い方に関しては、こちらの記事で詳細に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください!

レビューブックの強み

レビューブックの強みは2つあります。

1つ目は国家試験の総復習に使えること、2つ目は必要十分のことしか書かれていないので検索媒体としても有用であるということです。

まず1つ目ですが、時間の限られた直前期には不安な科を総復習するうえで役立つでしょう。

2つ目に関しては、電子版を購入しMedlinkアプリで検索すると、その用語の周辺知識も含めて必要十分の結果しか表示されないので、直前期の時間がないときに不安な医学用語があれば検索をかけ、その周辺知識を覚える、というやり方をするのがおすすめです。

RBマイナーの使い分け

RBマイナーは図や写真が豊富に記載されています。

Qassistの板書がある方はそちらでも良いですが、特に皮膚科や耳鼻科、眼科などで写真や図を用いた問題を解くためによい対策になります。

学習スケジュールの立て方

最後に、マイナー科目を勉強していく上での学習スケジュールについて説明します。

マイナー科目の勉強スケジュールを立てる上では、以下の2点に気をつけるべきです。

・早いうちから対策する
・定期的に復習する

マイナー科目は早期準備が大切!

マイナー科は出題数が少ないとはいえ、範囲自体は非常に広く、直前期には不安になるものです。

6年生の夏から秋くらいには1度すべてを目を通した状態にしておくと安心です。

理想はその科をローテーションしている際に同じ範囲のQBおよび講義を終えておくことです。

直前期から対策をしようとしても、直前期には他科目の対策にも追われていることがほとんどなので、結局十分な対策をできずに試験に臨んでしまう方が多いです。

定期的な復習を忘れずに

マイナー科はメジャー科とは独立した知識が度々登場します。

したがって、その科の演習を終えてから全く触れないと忘れる、ということも往々にしてありえます。

筆者は眼科と整形外科のQassistを直前期に見直すはめになり、復習の重要性を痛感しました。

時間のロスを防ぐためにも、定期的に復習するのが望ましいでしょう。

定着度を確認する意味では、模擬試験を活用することもおすすめです。

6年生では定期的に模試を受けることで自分の位置がわかるだけでなく、マイナー科の復習をする良い機会にもなるでしょう。

各問題で周りの正答率がわかるような模試だと自分の押さえるべき知識と重箱の隅をつつく知識の区別もつきやすいので、積極的に受験していきましょう。

まとめ

マイナー科は直前期にすべて1からやる、という事態になることを防ぐためにも定期的に講義を見たりQBを解き進めるのが良いでしょう。

マイナー科目だからといって、なんとかなるだろうと思って直前期から始めようと考えないようにすることがまずは大切です。

また、効率よく対策するためにも、QBを解く中でどのマイナー科目のどの問題が必修で出やすいのかを理解しておくことも重要になります。

マイナー科の問題は必修含め往々にして繰り返し出題されることが多い傾向にあります。

そのような問題を本番では逃さないように日頃から意識して対策しましょう!

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