医師国家試験勉強法大全: QBを最大限に活用して合格を掴む【東大卒医師が解説!2024年11月更新】

更新日: 2024年11月12日

 医師国家試験は合格率が約90%と非常に高い試験であり、多くの受験生がQB(クエスチョンバンク)を利用して対策をしています。しかし、QBを効率的に使った勉強法を本当に実践できている医学生は少ないのではないでしょうか。そこで本記事では、医師国家試験予備校での指導歴9年で、医学生の指導歴豊富な東大卒講師が、QBを最大限に活用した医師国家試験の勉強法について解説します。



佐々木京聖

監修
医師国家試験予備校MEDICINE 塾長 佐々木京聖

医師。東京大学医学部卒。医学生の個別指導歴9年。在学時より医学生の個別指導の経験を積む。基礎医学からCBT・国試対策まで幅広く手掛ける。
学生時代には、塾講師として延べ100人以上の大学受験生(主に医学部・東大志望者)も指導。東大理三をはじめ、医学部を中心に多数の合格実績。自身の勉強法をまとめた書籍に、学生時代の書籍『現役東大生が教える超コスパ勉強法』(彩図社)がある。


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医師国家試験における問題演習の重要性

 まず、医師国家試験の対策をする上で、なぜたくさんの問題演習をする必要があるのでしょうか。ここでははじめに、問題演習を行うメリットと、QBを利用するメリットに分けて解説していきます。

問題演習を行うメリット

合格ラインを見極める

 問題演習を行うメリットとしては大きく分けて次の二つになります。

・記憶の定着に有利である点
・周辺知識が身につく

 医師国家試験の試験範囲は膨大で、覚えなければならないこともたくさんあります。必要事項を頭に叩き込むには、ただ参考書を読むのではなくアウトプットしたほうが記憶に残りやすいからです。

 さらに試験に出やすい情報の取捨選択は、問題演習(特に過去問)を通して初めてできるようになります。


 ただ参考書を読んでいても、試験でどこが狙われるのか、どの部分が大切なのかを理解するのは分かりません。例えば、医学部の進級試験で分厚い医学書を通読したけれど、どこが大切かわからなかった、と言う経験をしたことがある方は多いでしょう。参考書をただ頭から読むだけの勉強法は非常に効率が悪いので、国家試験の合格を目指すという意味ではやめた方が良いでしょう。

 それよりも、数年分の過去問を解いて狙われ安い部分を理解し、その部分に絞って対策を行なっていくべきです。

 また、QBの解説には各選択肢の解説だけでなく周辺知識も書かれています。

 問題演習とともに周辺知識を身につけることは効率的な学習といえるでしょう。

 正解の選択肢を覚えるだけではなく、なぜ他の選択肢が間違っているのかを、解説をじっくり読み込むことで理解することが大切です。これにより、新しい問題が本番で出てきた時にも、これまで問題演習で培った知識を使って、解答を導くことができるようになります。

QBを使用するメリット

 QBは、解答速報含め大多数の受験生が使用しています。

 QBを利用することには、以下のようなメリットがあります。

・各選択肢の正答率が信頼できる
・自分の演習状況がグラフに表示され、学年内での自分の位置がわかる
・イヤーノートや病気が見えるなどの参考書と連携している

 特に、現在の自分の演習状況(今まで解いた問題数と正答率を、他の受験生と比較できる)がわかる上に、前年度同時期のQB使用者(つまりちょうど1年前の1つ上の先輩)の演習状況と、最終的な国家試験での正答率がはっきりわかります。

 前年度国試の成績が下位20%であった人と似た場所に自分がプロットされればさらなる演習が必要だとわかりますし、上位20%のプロットに重なっているようでしたら勉強のペースが順調だといえるでしょう。

 他の受験生の進捗を知ることは、モチベーション管理に役立つだけでなく、復習のタイミングの指標にもなります。

 これまでの数多くの医学生の指導経験で分かったことですが、国試で上位20%の人と下位20%の人の違いは、問題の数ではありません。そうではなく、復習を含めた正答率なのです。(横軸が同じ3000問でも、縦軸の正答率75-80%あたりを境に、国試での成績が大きく異なってくると言う統計データがあります。)

 つまり、どれだけ問題数をこなすかよりも、間違った問題をいかに復習するかが、合格への近道であるのです。

合格に向けた継続的な演習

 QBは6000問近くあり、一朝一夕にこれをこなすできません。

 したがって、継続的に問題演習を行う必要があります。

 問題演習を継続的に行なっていく方法としておすすめなのが、以下のような方法です。

・病院実習で学んでいる科の1周目問題を解いてみる
・マッチングで国試の過去問が出る病院を受け、その範囲に該当するQBを解く

 これにより、短期的な解くべきQBの問題数がはっきりし、問題演習も継続しやすいです。

 しかし、実際問題私が通っていた大学でも、病院実習に合わせて進められている人はごく少数でした。実習で回る科のローテーションは早いので、アルバイトや部活動などの予定なども踏まえると、計画通りに進めるのはかなり難しいようです。

QBを使った具体的な演習方法

 では実際に、どのようにQBを使用していけば、医師国家試験の効率的な対策ができるのでしょうか。

ここでポイントになるのは、以下の3つになります。

・1周目問題、メジャー科から解く
・先を見据えて演習スケジュールを立てる
・間違えた問題を徹底的に分析する

1周目問題、メジャー科から解く

 国試までまだ時間がある5年生や6年生の前半では、科ごとに1周目問題をこなしてみましょう。

 このとき正答率が半分を切るようであったり、継続が困難だったら、動画講義を見直すなどしてある程度知識がついた状態で進めるのも良いでしょう。

 分野はメジャー分野から解くと、全体の概要をつかみやすくて良いでしょう。

 もしマッチングの筆記試験などでメジャー分野などの特定の分野がよく出題されるようなら、QBの「問題セット」を作るのが良いです。例えば、マッチング直前は過去5年のメジャー科の問題演習セット1100問強で作って、ひたすら問題演習をこなしていきます。

 この際偶然正解した問題や、直前に講義を聞いていたために解けた問題などは、△をつけてあとから見直しやすくするとよいでしょう。

 もし最新年の問題セットがマッチングなどで出題されないようでしたらあえて解かずに残しておき、直前期に演習するのもおすすめです。

先を見据えて演習スケジュールを立てる

 6年前半まではマッチングや実習のスケジュールに合わせてQBを解いていきます。

 6年後半になると1周目問題以外やマイナー科も十分に抑えておく必要があります。

 しかし、医師国家試験の試験範囲は膨大であるため、6年前半までに行った演習内容をすべて覚えているとは限らないのが難しいところです。

 過去に間違えた問題や△をつけた問題(+心配なら正解した問題も)と新しい問題を科ごとに進めていきます。

 6年の冬ごろまでにはすべての問題を解き終えておくと安心できます。

 直前期の過ごし方としては、国家試験では5年分の過去問が非常に重要ですので、再度正解した問題も含め5年分復習しておくのが良いです。

 5年分を年次で演習することで、2,3年前の問題が使い回されていることが実感できると思います。

 医師国家試験の学習計画の立て方で悩んでいる方のために、学習計画表のテンプレートを添付しますので、ぜひ活用してみてください!

間違えた問題を徹底的に分析する

 間違った問題をそのままにしては、成績は伸びていきません。次へ次へと新しい問題を解こうとするのではなく、一問一問を分析するのが大切です。

 間違えた問題を分析する上で参考にすると良いのが、他受験生の正答率です。

 正答率95%以上の問題は、常識的な問題か、過去数年にほぼ同じ問題が出た可能性が高いです。

 前者の問題を落としていた場合は、その単元の勉強が足りておらず、弱点である可能性が高いです。

 一方、後者の問題を落としていた場合に関しては、必要以上に焦る必要はありません。数年前にその問題が出たかどうかは、QBの「受験生の声」というコラムの部分を参考にするとわかります。

 実際の国試で捨て問の場合も、QBの解説にそう書かれていることが多く、一方で教育的な問題で正答率が90%前後やそれ以下の場合は、翌年度以降に繰り返し出題される可能性があるため、理解して解けるようにするのが良いでしょう。

 また、間違えた問題や自信のない問題は、付随するQBのリンクからイヤーノートも見ておくと理解が深まります。

 QBを解き始めた段階ではわからない問題も多いと思いますが、2周目、3周目で同じ間違いをするなどした場合は別にノートにまとめたりしてもよいでしょう。

 医師国家試験予備校MEDICINEでは、指導実績豊富な東大卒医師による個別指導を受講することが可能です。

 初回面談では、指導実績な豊富な東大卒医師に無料で30分間学習相談をしたり、アドバイスをもらうことができます。

・一年に一回しかない国試で、本当に合格できるのか不安だ
・このままの勉強のやり方で大丈夫なのか、確認しておきたい

 このような悩みや不安がある方は、ぜひ一度ぜひこちらからご相談ください!

QBを使用した演習上の工夫と注意点

 ここまで、QBを使った基本的な勉強方法について解説してきました。しかし、他受験生と同じことをやっていても、差をつけることはあまりできません。

 そこでここでは、他受験生よりも一歩抜きん出るための勉強方法について解説します。

 ポイントは、以下の3つです。

・Medlinkアプリの効果的な利用
・最終目標の設定
・まとめノート、暗記カードの作成

Medlinkアプリの効果的な利用

 先程も述べた通り、QBの問題集にはイヤーノートや病気が見えるのページ数およびリンクが記載されています。

 これを利用すれば学習効率は上がりますが、その他にMedlinkアプリの使い方をお教えします。

 まずは検索ボタンです。すでに多くの方が使われているかもしれませんが、アプリの検索窓から好きな用語で検索するとメディックメディアの書籍(電子版を購入したもの)からその用語に該当するページを見ることができます。

 QBの解説では理解しきれなかったり、さらに周辺知識を知りたい場合は是非使ってみてください。

 また、最近の受験生にはQuick Checkも好評のようです。

 Quick Checkは国試の過去問数年分からエッセンスのみを抽出して一問一答の○×クイズとして解くもので、自分の正答率が低かったQBの問題を中心に出題してくれるので直前期に重宝します。

最終目標の設定

 試験本番で取りたい、合格点を必修・一般臨床ごとにあらかじめ立てておきましょう。

 最終目標は国試に合格することですが、その中でも必修80%、一般臨床65-70%, 禁忌肢3問以下(一般臨床は年によって変動、禁忌肢は年によって2問以下)が必要です。

 一昔前は一般臨床のボーダーは軽視されがちでしたが、ここ数年はそのボーダーが上がってきているため、どのセクションも気が抜けません。

 前述の、正答率が高い問題は絶対に落とさないという意識で演習に取り組むのが良いでしょう。

 医師国家試験予備校MEDICINEでは、本番での目標点数を必修90%、一般臨床80%に設定するように指導しています。指導歴9年の東大卒医師の指導により、試験1ヶ月前からでも合格を十分目指せますので、一度相談してみたいと言う方は、こちらからご連絡ください!

まとめノート、暗記カードの作成

 まとめノート、暗記カードの作成を試験範囲全体に対して行うのは、6年生後半以降で良いかと思います。

 ある程度演習を積んできて出やすいポイントがつかめてきたら、自分に足りない知識を暗記カードに落とし込んだり、まとめノートを作成するのが良いでしょう。

 QBを解いていて正解以外の選択肢の解説などで新しい知識があれば、Ankiというスマホアプリを使って、Ankiデッキに含めるようにしましょう。

 また、試験直前期に頻出ではないものの不安であった知識(小児の発達のニッチな部分や皮膚科など)はまとめノート(iphoneのメモ程度ですが)にまとめましょう。

医師国家試験の直前期にやるべきこと

 医師国家試験は毎年2月の上旬にあります。

 試験直前の12月から1月での期間は何をするべきなのでしょうか。自身の経験、そしてこれまでの受講生を見ていて絶対にやっておくべきなのは以下の3つになります。

・過去問5年分をやり直す
・まとめノートを復習する
・模試を解いて実力確認をする

過去問5年分をやり直す

過去問から新しい知識を「学ぶ」

 直前期はとにかく過去問5年分を完璧にする意識で過ごすのが良いと思います。

 本番でも過去問5年からそのまま出る可能性すらあります。

 それ以外の対策としては、必修はもう少し昔の問題を遡ったり、公衆衛生のややこしい部分をまとめたり、今までの暗記カードなどを復習するなどして過ごすのが良いでしょう。

 生活リズムを整えることも重要で、1ヶ月前頃に実際の試験と同じ起床時間で外出し、勉強するという対策もしましょう。

まとめノートを復習する

 勉強しているとどうしても、何回やっても覚えにくい部分は出てきます。

 それらの知識を、ノートにまとめておくなど、何らかの形で試験直前期に見直せるようにしておくと良いでしょう。

 ですが、1からノート作る必要は必ずしもありません

 講師の私が受験生の頃は、公衆衛生と必修以外はiphoneのノートにまとめておき、公衆衛生はQassistで使った板書、必修がレビューブックをまとめノートとして用いました。

 国家試験は6ブロックありますが、公衆衛生が出やすいブロックが(少なくとも私の代までは)あったので、その直前に公衆衛生のまとめノートを、必修ブロックの前に必修のレビューブックを見ていました。

 必修と公衆衛生に苦手意識がある方は、以下の記事も参考にしてみると良いでしょう。

模試を解いて実力確認をする

 模試は自分の現状位置を把握するうえでも重要です。トリッキーな問題も中には含まれているので、完璧主義になりすぎないように復習しましょう。

 個人的な印象としてはテコム(現M3)模試は難易度が高いが練られた問題が多く受験者も多いです。

 メディックメディアは重箱の隅をつつく問題もかつては多かったですが、近年ではその割合も減ってきたという印象です。

 QBと似た感覚でPCで解くことができ、便利ですし、映像授業で解説もついています。

 映像授業の中で、重箱の隅をつついた問題は解説してくれるので復習のメリハリがつきやすいです。

 メックも問題の質が高く受験者も多かったイメージです。

 直前期の模試は、実際の試験のスケジュールに合わせて外で解くのも本番のシュミレーションになって良いでしょう。

試験当日の過ごし方

試験当日の心構え

 実力を出し切るためにも、当日気をつけることはチェックリストとしてリスト化しておくべきです。

 自分の場合は模試で何度も1つ選ぶ問題で2つ選んだり、その逆のミスをしていたので、それに気をつけたり、問題文で読み間違えやすい部分をリスト化したり、1日目を終えたときにどのくらい1日目の復習をするのか(しないか)、何時までに寝るか、などをリスト化していました。

 試験中にやるべきことだけでなく、休憩時間、そして本番当日に家で帰った後にするべきことなどまでリスト化して、最善の体制を作るべきです。

 ここまで準備をしたら、当日はいつも通り過ごしましょう。

 試験会場は大学とは異なれど、周りには同じ大学の知り合いも多いので、リラックスして受けることはできる環境だと思います。

医師国家試験が終わったら、最後のお休みを楽しもう

 自分なりに臨床に出た際知っておきたい知識があれば復習するのが良いですが、臨床現場に出たあとは2ヶ月の休みはなかなか取りづらいかと思います。

 初期研修が始まるまで、長期の旅行にいくもよし、リラックスするもよし、新しいことを始めるもよし、休みを最大限使うのもこれから社会人として働くうえでの良いメリハリになると思います。

 皆さんの医師国家試験での合格を心より祈っています。

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 初回面談では、指導実績な豊富な東大卒医師に無料で30分間学習相談をしたり、アドバイスをもらうことができます。

・一年に一回しかない国試で、本当に合格できるのか不安だ
・このままの勉強のやり方で大丈夫なのか、確認しておきたい

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